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孤立集落

実家が大雨で孤立集落になった。

地震からようやく復興したばかりだった。

地震があったのは正月。大抵の正月は実家に帰っていたが、その年は帰省していなかった。

被災地となった地元。

数少ない友達の無事を尋ねることも憚られた。

無事を尋ねなかったことで、その先連絡ができなくなった。

自分だけ地元にいない。自分だけが経験していない。

地震の恐怖を経験した人たちに自分の言葉や態度は軽すぎるだろう。軽すぎただろう。

復興の手伝いも何もしていない。落ち着いた頃に実家へ帰り、現状を見て酷いねって言って、いつも通り実家で過ごしてまた日常へ戻っていく。

ひとりでも多く被災者はいない方がいいはずなのに、どうして自分は実家に帰ってなかったんだろうかと思ってしまった。帰っていれば、経験していれば、気持ちを共有できたのに…仲間でいられたのに…

そしてふと思い出す。

中学生のある日、どうしても学校に行きたくなくて休んだ日。体調が悪かったのか精神的に嫌だったのかは今はもう覚えていない。その日、全校集会で同級生が亡くなったことが知らされた日。

その日に休んでしまったことで、自分はその悲しみに参加することができなくなってしまった。

翌日、自宅でその事実を知ったうえで登校した。当日よりかはみんな少し落ち着いていただろうけど、決していつも通りではなかった。

その日友達に言われたことはまだ心に引っかかってしまっているのかもしれない。

みんなが苦しんでるなか、あんたは家で動画見て笑ってただろ

そんなニュアンスの言葉。

こうして仲間になれなかった自分は、同級生の死に純粋に悲しむことも出来ず、ただ何も言えずに取り残されたような気持ちでいた。

地元が被災地となった時、同じ気持ちを感じた。

今回の大雨でも似たような気持ちになりそうになる。

被災地の中にいなくて良かったんだよ。家族が被災者になっていても、自分まで被災者になる必要はないんだよ。自分が被災してないことは良かったと言えることなんだよ。安全な場所にいていいんだよ。

できることはただ元気に日常を送ること。みんなの無事を祈ること。ただそれだけ。

疎外感なんて感じなくていい。

ただ無事を祈っている。

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